天国の妻から「マニキュア」 東京新聞 ・発言・欄から

妻を亡くしてはや4年。
ただ呆然と独り暮らしをしている私は、途方に暮れると、決まって仏前に座し妻に、どうしたらよいか問います。
この日も悩みがあって何げなく妻の遺品を探すと、マニキュアが出てきました。私がその種のものを嫌っていたので、遠慮して使うのをためらっていたのだろう。何で今ここに…と訝しく思い、マニキュア、マニキュアと繰り返すうち、次のフレーズが思い浮かびました。
「マ」負けたっていいじゃない?
「二」逃げたてっいいじゃない?
「キ」気にしなきゃいいじゃない?
「ユ」許しちゃえばいいじゃない?
「ア」諦めればいいじゃない?
あの世の妻から私への激励のメッセージでした。苦しいとき、つらいとき、思い出しては生き直しをしています。「マニキュア」は私の精神安定剤なのです。